2017年1月3日火曜日

非特異的減感作療法ってどうよ

先日投稿した用語集で下記のように書きました。
特異的でない脱感作はAIDSであって根本療法として成立し得ないし、
そもそも感作やアレルギーは特定の抗原に特異的な防御反応だから、
「特異的」に特段の意味は無い

今のところ根本療法としての脱(減)感作療法はアレルゲンを用たものしかない(たぶん)
結局のところ減感作療法と同じ意味(たぶん)

また、全ての抗原に対して減感作/脱感作になったら単なるAIDSです
ところが、非特異的減感作療法というものがあるらしいです。
ヒスタグロビン注射:非特異的減感作療法
「ヒスタグロビン注射」は、非特異的減感作療法と呼ばれ、特定のアレルギー原因物質に対して感受性を低下させる"特異的減感作療法"とは異なり、いずれかのアレルギーの原因に関係なく、アレルギー疾患を体質から改善する根本治療です。
また、ステロイド注射とは違い副作用が極めて少ないことが特徴です。このヒスタグロビンは昭和42年に国内で発売されて以来、一度も感染症を起こしたことのない安全性の高いものです。
Wikipedia:ヒスタミン加人免疫グロブリン
しかし、これ、どうなんでしょうね。
ステロイドの様な能動的な副作用が無いこと、人血液製剤だが感染症例が無いことをもって安全としていますが、獲得すべき免疫まで阻害しないのでしょうか。
  • 生ワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ・水痘ワクチン)の効果獲得に対しても影響を与える可能性があるためワクチン接種からは最低2週間あける必要があります。
  • ヒスタグロビン注射を行なってから生ワクチンを接種する場合は最低3~4ヶ月空ける必要があります。
やはり、一種の免疫不全状態になるようです。
上記はワクチンの効果減少の観点で記載していますが、もしこの期間に実際に感染症に掛かったら重症化しないのでしょうか。

上記はあくまでも素人による私見ですが、考察をもう少し。
ヒスタグロビン注射を行ってから3~4ヶ月に実際に麻疹・風疹・おたふくかぜ・水痘に掛かったケースは臨床試験からは積極的に得る事ができないので、フィールドでの長期にわたる追跡調査が必要になるはずです。世界的に見て認可から50年程度ですが、実際には統計に堪える臨床データがあるのでしょうか。

十分な臨床データが無いとしたら、私はアレルギー治療方法としてヒスタグロビン注射を今後も選択しないと思います。

似ているものにイノトロピン注射があります。
花粉症の話2012 ノイロトロピン注射
Wikipedia:イノトロピン
こちらはウサギの皮膚抽出物で、元来は鎮痛剤として開発されたようです。
痛みは著しく生活品質を落とすので、必要に迫られて投与するのは納得です。
しかし、こちらも花粉症治療にも利用されるようですが、私は選択しないと思います。根本治療にもならないようですし。


蛇足

Wikipediaの「非特異的アレルゲン免疫療法」というネーミングは意味不明ですね。
構成する単語間のあり得る結合順序(四則演算等のあれ)を括弧で補足すると、意味がありそうなのは下記の3通り。

((非 特異的) アレルゲン) 免疫療法
 「特異的でないアレルゲン」は自己矛盾なのでこの結合ではないはず。

(非 特異的) (アレルゲン 免疫療法)
 同上

(非 (特異的 アレルゲン)) 免疫療法
 アレルゲンに特異的は不要なのでこの結合ではないはず。

語順を入れ替えて「非アレルゲン特異的免疫療法」とすると違和感は無くなります。

(非 (アレルゲン 特異的)) 免疫療法

ヒスタミン加人免疫グロブリンの記事の方にある非特異的アレルゲン免疫療法へのリンク「非特異的免疫療法」でも同じく違和感はありません。

(非 特異的) 免疫療法

もっとも、免疫療法であることを除くと、特異的で無いことしか言っていないので、たいして気の利いたネーミングではありませんが。それだけ、免疫療法は[アレルゲン]特異的なのが一般的ということでしょう。

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